私は、脱サラしてまもなく第二の人生を行政書士として駆け出すことになります。
退職して直ぐ、建設業の許可と株式会社の設立の仕事を受注することができ、かなりラッキーな開業ダッシュだったと思っています。
行政書士の登録自体は会社を辞める前にできていました。
当時、知人のNPO法人設立は経験があったのですが、株式会社の設立は初めてでした。
株式会社の設立は、まずは代理人として作成した電子定款を公証人役場で認証を受け、資本金を銀行に入金してもらいます。もちろん公証人役場に行くのも初めてです。緊張している私は淡々と業務を熟す公証人の先生のようにならなければと思いながら定款の修正のアドバイスを受けます。
そして定款が完成しました。
次に会社の登記をしなければなりませんが、登記申請は司法書士先生にバトンタッチ。こちらも卒なく進めてくださり、希望する会社設立日に申請をあげてくださいました。会社の設立日、創業記念日は会社の誕生日ですから気にされる社長様もいます。
無事、ご依頼の期日までに株式会社の設立を完成させることができました。
あの当時、50歳を機に独立して、以前から憧れだった仕事に就くことができ、マイペースで業務が進められている実感を噛みしめている自分がいました。
次に建設業の許可申請です。
以前であれば、個人事業主は廃業して株式会社として新たに許可番号を取得する必要がありました。
しかし、改正建設業法であたらしく創設された認可申請の手続きにチャレンジすることにしました。
この制度を活用することで社長様が長らく経営・維持してきた許可(番号)を新設会社に譲渡し引き継げるのです。
認可申請は、できたばかりの制度で県庁の建築指導課の担当官が窓口でした。
新規の建設業許可とは違う点があるのですが、その当時は聞く相手もいませんでした。
担当官からも行政書士に聞いてからくるようにと窘められ「私も行政書士なのに」と落胆しましたことを覚えています。
建設業許可申請の新人の私でしたが、そこから手引きを読み、無事認可が下りました。
ご依頼の社長様が個人事業主から法人成りするには訳がありました。東京からご子息が地元に帰ってくることになり一緒に仕事ができる。
だったら「株式会社として建設業を続けよう」ということでした。
しばらく社長様が心に秘めていた夢が良いカタチとなりました。
息子さんもオヤジの会社を引き継ぐ心の準備はできているそうです。
翌年、社長様から助成金についても取り組んでくださいと依頼があり、「働き方改革推進支援助成金」を獲得するために社会保険労務士の開業登録をしました。
なぜなら助成金の申請業務をスムーズに行うためには社会保険労務士の登録が必要と考えたからです。
いつか必要になるかもしれないと取得していた社会保険労務士がここにきて役に立ちました。
そういう意味では、宅建士もいつか出番がくるかもしれません。
さて、この助成金の支給要件として賃金Upがあり、最低賃金の改正の行われる10月までには助成金の申請を通しておかなければなりません。この流れに乗るために急いで社会保険労務士の登録及び福岡県社労士会へ入会しました。
これで正式に受注できます。働き方改革推進支援助成金の「労働時間短縮・年休促進支援コース」に取り組む中で浮上してきたのが建設業の2024年問題。
令和6年4月以降に労働基準監督署に提出する36協定の様式が一新され時間外労働の管理が厳しくなっていきます。
給与計算も任されているので出勤簿のチェックも重要な仕事です。
出勤簿から見えてくることもあります。勤務状況から社員様の体調が心配になり、理由を聞くと親の介護で欠勤が多いということであったのです。
これが発端で就業規則を改定して「働きやすい」職場へ変えていく仕事につながっています。
時代の変化とともに働き方も変わっていくのです。
そて、助成金の趣旨である「労働時間の短縮」を達成するためには「手待ち時間」の削減に取り組む必要がありました。そのため資材運搬用の軽トラックを購入することになりました。
この軽トラックの購入代金に対して助成金の交付決定がなされ、新車購入代金の4/5の助成率でした。
酷暑の中、相見積を取るためディーラーさんを回ったり、多くの申請書類を集める際に業者さんから見積書や請求書などを提出してもらうのに「面倒くさい」と怒鳴られたり……。額に汗して取り組んだ甲斐がありました。今思い返しても良いスタートを切ることができたなと感謝しています。
今振り返ると、ご依頼される方とともに経営課題に携われるのが士業の魅力ではないかと思います。